白い紙に線の幅が均一に整った文字で何か書いてあった。 【知らない人に黙ってついて行っても、あなたなら平気よ】 さっきの声が赤い本の中に書き込まれている。 『ぼくの知識』という表紙からすると、女性の声を重要だと脳が認識して、赤い本を記憶媒体として具現化したんだと男の子は自分なりに推測して処理した。 この女の人の声だったかな? 横目でチラリとハンドルを握る女を見た。 「何チラチラ見てんの?何か言いたいことがあるならはっきり言いなさい」