吸血鬼は淫らな舞台を見る   episode ι (エピソード・イオタ)



男の子は自分の体が小さくなっていくのがわかった。


余計なこと喋っちゃったかな、と反省していると、車はどんどん深い森の中へ入っていく。


この女の人は誰もいないところで、ぼくを殺す気なんじゃ?


男の子に不安が募ってきた。


『知らない人に黙ってついて行っても、あなたなら平気よ』


突然、男の子の耳に女性の声が聞こえてきた。


キョロキョロ周りを確認するが、二人乗りの車に当然ながら他に乗っている者はいない。


不意打ちだったので、運転している女の人の声なのか判断が難しく、割と若い女の人の声という共通点しか見つからない。