ただし、インナーで襟付きの白いカットソーの胸元部分が大きくはだけて、誰かを挑発する準備が整っている気がした。 男の子は自分が着ている服を見た。 フォーマルな濃紺のジャケット、赤の蝶ネクネタイに半ズボン、つま先が丸い子供用の革靴、泥だらけでなければこれから小学校の入学式に行く格好をしている。 女と服装がリンクしていることから、ぼくのお母さんなのかな?という推測が男の子に浮かぶ。 路地裏を出たすぐ脇に停まっていた真っ赤なスポーツカーに女が向かっていく。