「グゥオオォ~」 再び獣の声が聞こえてくると、男の子はビクッと体を震わせた。 「大丈夫よ。襲ってはこないから」 女の一言は、男の子に安心させる不思議な力があった。 指示されたわけじゃないが、男の子は黙って女の後ろを付いていく。 しばらく歩くとマンホールの蓋が外れ、真上に夜空が丸く切り取られた景色が見えるところで女が立ち止まった。 「早く上りなさい」 これ以上イライラさせてはいけないという思考が働き、男の子は二本の枠に格が連結した梯子を上っていく。