「あっちから変な声が聞こえるんだ」 “おばさんは敵!”という危険信号が脳内から出なかったことで、逃げてきた方向を指さす。 「また説明しなきゃいけないのね」 女が懐中電灯の肩叩きを再開させる。 「あ、やっぱりいい」 女が不機嫌になった気がして、男の子は質問した直後に説明を拒否した。 「少しはお利口さんになったのかしら」 女の口元が若干緩まり、男の子は自分の判断が間違っていなかったことに胸を撫で下ろす。