イオタの血を飲んで体力を回復していたのなら、地下室で拘束されているとき、シータと舞台で会う機会が注射器を齧ったとき以外になかったことは、よくよく考えてみるとおかしなことだった。 シータを疑っていた自分をイオタは恥じた。 「これを見て」 ジェーンは端末をテーブルに置くと緑色の画面に動画を映した。 二つの黒い影が激しく動いて争っている映像なのだが、どこか迫力がない。 どうやら男の子同士のケンカらしく、腰が入っていない両腕を突き出しているだけのパンチの応酬。