吸血鬼は淫らな舞台を見る   episode ι (エピソード・イオタ)



「えっ?黒衣部隊にいる吸血鬼は仲間じゃないの?」


女の正体がわかってきたと思ったところで、イオタの頭は混乱する。


「仲間といっても人間のような馴れ合いじゃないから。連絡してくれたのは事務的な手続きのようなもので、死の宣告に近いわ」


女の話しを聞いて、吸血鬼同士の関係がとてもドライなことがうかがえる。


「でも、その仲間の吸血鬼に必死に頼んで何とかしてもらえないの?」


イオタが食い下がるように尋ねた。


「吸血鬼に仲間意識や妙な期待は持たないほうがいいわ。それに黒衣部隊には幹部になった吸血鬼もいるんだけれど、そいつはとても危険よ」