吸血鬼は淫らな舞台を見る   episode ι (エピソード・イオタ)



自分の意思とは無関係に脳内の黒い化け物に操られ、抑揚がなく感情のこもっていない喋りになったが、身を委ねた効果があったらしく、どうかしら、という台詞を出さずに女は無口になる。


「答えないってことは正解かな。ということは、ぼくにも勝ち目が出てきたかな」


女の反応でイオタには答えが見えてきた。


殺意を感じる女の傲慢な態度、自分だけがかわいいシータの保身による裏切りを憎しみや復讐というエネルギーに変えた。


体中の血がグツグツ煮えたぎる感情を指に集中させ、パチン!と鳴らす。