吸血鬼は淫らな舞台を見る   episode ι (エピソード・イオタ)



「ぼくらは血を飲めば、その血の主の過去が舞台として見えて、知識となって培う。ぼくの経験だと、少ない量を飲んだとき、現実の世界で気を失っている時間の経過も比例して少ないと思う」


シータはイオタの態度などお構いなしに説明を続ける。


「あぁ~もうわかったよ。そんなことより、ぼくらは血の繋がった兄弟なの?生みの親はいる?そもそもどこから生まれてきたの?」


うんざりした顔をしたあと、イオタは過去の記憶の基礎となるものをどうしても知りたくなって質問した。


「知らない。君の血をたくさん飲ませてくれたら、記憶を辿って調べてあげてもいい」