「無闇に力を使わないほうがいい。体にどんな影響が出るのかわからないんだから」
「副作用みたいなものが出るとは書いてないけど」
イオタは頭の中の赤い本を速読する勢いで漁ってみたが、舞台で力を使った後のことはなにも書いてなかった。
「ぼくの血をもっと飲めば答えが出るかもしれない」
シータが自虐的なことを言う。
「へぇ~血を飲む量が増えれば知識が増えたり、もっと古い過去がわかったりする可能性があるということかな」
口調こそ関心を装っている感じだったが、想定内のことだったのかイオタの表情にさほどの驚きはない。



