吸血鬼は淫らな舞台を見る   episode ι (エピソード・イオタ)



「シータよりも交渉上手なところを見せてあげるよ」


自信満々な顔でイオタが宣言する。


「無理だよ」


「そうかな」


と言ってイオタはパチンと指を鳴らす。


「あっ!」


シータが驚きの声を発したとき、すでに輪になったロープが頭から通され、観客席の椅子と一緒にぐるぐる巻きにされていた。


「君の真似をしてみたよ。本当に何でもありの世界って便利だね」


イオタが踊るようなリズムで喋る。