「二人の意識が失っている状態だと臨床実験に支障が出るということになるし、あの女もぼくの血を飲んでここに来る以外に選択肢はないと思う。来ることができれば、の話だけどね」 目的が女を舞台へ誘い込むことなんだとイオタは遠回しに答えた。 「君はあの女の恐ろしさを知らないんだ」 「シータは見事に交渉して、ぼくと立場を入れ替えたじゃないか」 イオタの言い方は優しかったが、シータにはそれがかえって怖かった。 「あの女から有利な条件を引き出そうなんて思わないほうがいい」