「君はわざと自分が虐げられている舞台をぼくに見せたんだね。ぼくを同情させて、危険な行動に走るように仕向けた」 イオタは舞台中央からゆっくり歩いてシータに近づく。 「ぼくの記憶の一部を見せただけだよ」 「わざわざあんな舞台を見せる必要はなかったと思うけどな」 イオタは舞台の縁に座り、ぶら~んと両足を垂れ下げた。イオタとシータの距離は五メートルもない。 「ここから逃げる方法を考えた結果だよ」 「自分だけが……でしょ?」 イオタが蔑んだ視線を向ける。