「この状況を見れば君が嘘ついていることは一目瞭然さ」 イオタが片足の爪先でクルリと回転して、舞台をよく見ろと挑発する。 「舞台にぼくが嘘をついた証拠でもあるの?」 イオタの仕種が馬鹿にしているように映り、シータの語気が強くなる。 「ぼくの舞台であの女が注射器を持ちながら登場してないでしょ」 イオタは両手を大きく広げながら首を左右に振り、誰もいないことをアピールする。 「それは……」