「そ、そうだよ」 「確か宗教的な本の一節に書いてあったかな。さっき自分が言ったこともう忘れたの?シータの知識は全てぼくの脳内の赤い本に書き込まれているんだよ」 言ったあとで、イオタは深いため息をつく。 「赤い本って何?」 「ぼくの脳内には『ぼくの知識』というタイトルの赤い本が浮かんできて、そこへ知識がどんどん蓄積されていくみたいなんだ」さらにイオタは得意げに続けた。「いまは二本の角が生えた黒い化け物が赤い本を持って、自由に使ってくれるからぼくはすごく楽なんだ」