「せっかく人間よりも勝っている力があるのに試したいと思わない?」 イオタが不思議そうな顔をしてシータを見詰める。 「イオタ君は完璧な吸血鬼になりたいの?」 「完璧な吸血鬼?」 完璧な吸血鬼という概念がわからず、イオタは眉を寄せて訊き返す。 「悪魔に心を支配されると理性を失って単なる化け物になってしまうかもしれないよ」 「それも読んだ本からの知識だよね?」 イオタがするどい目付きで問う。 完璧な吸血鬼とは悪で染まった化け物を意味しているらしい。