吸血鬼は淫らな舞台を見る   episode ι (エピソード・イオタ)



「ぼくのほうがあの本がある部屋で培った知識が多いから、君を助けられる可能性が高くなると思ったんだ」


「すごい自信だね。でもあそこにある本がそれほど役に立つとは思えないね」


イオタの表情は冷め切っていた。


「ごめん、イオタ君に相談するべきだった」


「どっちが吸血鬼として相応しいか勝負してみない?」


シータが謝ったことなど全く意に介さず、イオタは尋ねる。


「ぼくはイオタ君と闘う気なんてないよ」