吸血鬼は淫らな舞台を見る   episode ι (エピソード・イオタ)



「いまさら遅いよ!」


突き放す言い方をしてイオタが本心を表す。


「しかたなかったんだ」


「自分の身のためなら秘密を喋って、簡単に裏切るんだ」


イオタが目を細め、やや顎を上げて言う。


「なんとか君を助けようと考えていたんだ」


両手を広げ、シータが訴える。


「シータのやることはすべて演技に見える」


イオタは卑しい嫌味を言う。