「ひょっとひゃひゃけてくるね(ちょっと出かけてくるね)」 満足に発音できず、ちゃんと伝わったかはそれほど問題ではなく、女の脅える顔を見れなくなるのが、イオタは心残りだった。 ★ ★ ★ やっぱり……。 イオタは目の前の光景を見て、落胆とも喜びともつかない複雑な表情を浮かべた。 赤い幕が垂れ下がった薄暗い舞台の上に、ベッドで拘束されている現実の世界と同じ状況が揃っている。 今回は演者側ということらしい。