しかし、体内で充満する黒い霧はモクモクっと膨れると、体内から脳内へ上昇して頭に二本角が生えた化け物に形を成した。


そして、脳内にあるイオタの記憶と知識が詰まった赤い本を小脇に抱え、口を薄く開けて笑ったような仕種をした。


まるで、自分の物になったぞと勝ち誇っている顔に見える。


心が、脳が、黒い化け物に支配された気がした。


気持ちを委ねればもっと気分が楽になる、という誘いなのか手を差し伸べてきて、イオタが手を握るイメージをすると、スゥ~と胸につかえていたものが取れ、清々しい気分になる。


そればかりか、ここから抜け出す思いがけないアイディアが浮かんできた。