図書館のような部屋で、元囚人が刑務所から逃げた経験を綴った自叙伝などの本でも見つけて読んでいれば、可能性はゼロではなかったかもしれない。 できるだけポジティブなことを考え、怒りの炎を消さず、集中力を切らさないように試行錯誤しているときでもシータの顔がチラチラ見え隠れする。 シータは血を採られるのが嫌で、ぼくを売ったのか? 怒りから嘆きへと感情が変化の兆しをみせた。 首を動かして頭を振る。 それでもシータの顔は消えない。