吸血鬼は淫らな舞台を見る   episode ι (エピソード・イオタ)



そして、叫んだ。


「シータ、まだそこにいるんだろ?ねぇ、どういうことなの?説明してよ!」


答えは返ってこない。


女はフフッと惨い笑みを見せた。


イオタにはくっきりと黒い霧が体内を駆け巡っているイメージができた。


心をどす黒く染めようとしているのがわかり、すぐにでも蓋をしなければいけなかった。


このままだと感情をコントロールできなくなる。


心にしっかり蓋をして、誰とも会話せず、接触しなければ傷つけられることはない。


裏切られたときの気持ちはこんな感じなのかと、辛くなってきた。