じっとしていると極度の緊張状態のまま神経がやられそうで、シータを早く見つけて屋敷から逃げないと!という意識にイオタは切り替え、引き返そうとした。 「そこで何してるの?」 その声を聞いたイオタは、臆病な野良犬でもそんなに驚かないだろうという顔をして振り向く。 「あなた、自分が仕出かした過ちがわかる?」 女がイオタの背後に立っていた。こめかみに血管を浮かせ、顔を近づけてくる。 イオタは首を横に振ることしかできない。