吸血鬼は淫らな舞台を見る   episode ι (エピソード・イオタ)



身を屈めながら再び踏み板に足を載せると音が鳴る。


二階の構造がどうなっているかわからず、躊躇していると見失ってしまう可能性がある。


構わずに大階段を上った。


中間の狭くなっているところに差し掛かると、さらに音が大きくなる。


どうやら真ん中より端の方が強度はあるらしい。


女が歩いるとき音がしなかったのはそのせいだ。


イオタはロスした時間を取り戻すため、小走りで大階段を駆け上がる。