女は玄関ホールを左に曲がり、大階段を上っていこうとする。 踏み板の真ん中には赤い絨毯が敷かれているのに、女は手摺に指を滑らせて優雅に腰を揺らし、端の方を社交界のお嬢様気分で歩いていく。 女が上りきり、姿が見えなくなったところで、イオタは大階段の踏み板に足を置いた。 体重を載せると、ミシッと過剰なほど音が響く。 おば……いや、お姉さんより体重は軽いはずなのにどうして? イオタはサッと大階段の陰に隠れ、手摺の隙間から様子を窺ったが、女は引き返してこない。