「あとで私が掃除するから、ガラスの破片には触らないでそのままにしておくのよ」 妙に優しい言葉をかけ、女は部屋を出ていく。 ワイングラスを割ってなにかしらの罰を受けることや、次の食事までの具体的な指示がなかったことはイオタにとっては好都合だった。 シータのところに連れていってくれるという期待を込めて、女の後を追う。 ただし、気づかれずに慎重に行動しなければいけない。 バレたときのことを考えると足が動かなくなってしまいそうで、ネガティブな想像は捨てることにした。