吸血鬼は淫らな舞台を見る   episode ι (エピソード・イオタ)



シータが実在するという喜びと、絶対見つけてやる、という闘志がイオタの感情を高ぶらせる。


静寂が包む中、これからのことをじっくり考えようと思った矢先、イオタの心臓がドクンと脈打ち、眩暈するほど体が揺れ、目の前が白くなる。


パリンというガラスが割れる音が聞こえたような気がした。


        ★

        ★

        ★


イオタが瞼を開けると、床の上にワイングラスのガラス片が落ちていた。


起き上がろうとしても自由に体がいうことを利かない。