「ごめん。怒らせた?」 「怒っていないよ。でも、ぼくの忠告には耳を傾けてほしい」 シータは閉じていた両目を開けると、悲しそうな顔をした。 「わかった」 後ろ髪を引かれる思いでイオタは舞台を下りた。 「また会えるさ」 「シータと現実の世界で会いたい」 イオタは振り向き、切実な願いを込めた。 シータの答えのはぐらかし方は、現実の世界に、しかも屋敷内に居ることを隠したいという心の中が読めた。