「シータは現実の世界に実在するの?」 イオタは残り時間が僅かなことを察知して、早口で質問する。 「ぼくが実在するのか突き止めようとするのは、やめたほうがいい。あの女の人に気づかれたら終わりだよ」 「ぼくは君を助けたいんだ!」 心の底から力強くイオタが訴える。 「ありがとう。その気持ちだけで十分だよ」 シータは目尻を下げて不快感の残らない断り方をしてきた。 「屋敷の中に居るの?」