吸血鬼は淫らな舞台を見る   episode ι (エピソード・イオタ)



「シータは現実の世界に実在するの?」


イオタは残り時間が僅かなことを察知して、早口で質問する。


「ぼくが実在するのか突き止めようとするのは、やめたほうがいい。あの女の人に気づかれたら終わりだよ」


「ぼくは君を助けたいんだ!」


心の底から力強くイオタが訴える。


「ありがとう。その気持ちだけで十分だよ」


シータは目尻を下げて不快感の残らない断り方をしてきた。


「屋敷の中に居るの?」