吸血鬼は淫らな舞台を見る   episode ι (エピソード・イオタ)



「かなり無理してるよね」


イオタは気遣うのではなく、やや怒ってるような言い方をしてみた。


「そんなことないさ」


意識的に筋肉を使い、シータは苦し紛れの笑顔をつくり出す。


「夢の中でシータと会話することが、そんなにいけないことなの?」


あの女の人の前で同じことが言えたらと思いながら、イオタは自分の意見を吐き出して尋ねた。


「夢の中か……」


と、シータは意味ありげに言葉を切る。