吸血鬼は淫らな舞台を見る   episode ι (エピソード・イオタ)



「ど、どうしよう……」


イオタの背中に冷たいものが流れた。


「大丈夫だよ。君が精神的にも体力的にも辛いと感じたら、ぼくのことを話せばいい」


いままで言ったのは冗談だよ、とでも言いたげにシータがニコッと笑う。


「でも、シータがひどいことされるんじゃない?」


「ぼくは平気さ。イオタ君と会話できて、最近は体調が良いんだ」


シータはまた笑った。


しかし、イオタにはその笑顔がとても痛々しく感じた。