吸血鬼は淫らな舞台を見る   episode ι (エピソード・イオタ)



そして、シータの頬に軽くキスをして「またね」と舞台を後にした。


イオタは女の姿が見えなくなるのを見届けると、すぐに舞台に上がる。


「大丈夫?」と声をかけると、シータは笑ってみせた。「ぼくのこと覚えてる?」


「当たり前じゃないか」


シータはやつれた表情で答えた。


「すごく久し振りなような気がする」


夜から朝までのあいだがイオタにはとても長く感じていた。


「四年ぶりかな」