「今日はちゃんとここで見張ってるから安心して飲みなさい」
イオタはもっと食感のあるものをリクエストしたかったが、はっきり言わなかったのが悪かったらしく、女は的外れな答えを言う。
はっきり料理名を告げれば、このマズイ飲み物を口にしなくて済む可能性は僅かにあったかもしれないと後悔しながらワイングラスを片手で持った。
助けを求める目線を送ったり、ためらう仕種をして、遠回しに拒否権を発動させる方法も思い浮かんだが、武士らしくないぞ!と自らを一喝。
それに今回は確証こそないが、楽しみがひとつだけある。
どうか、またシータに会えますように、と願いを込め、イオタは赤い液体を飲んだ。



