「昨晩のことは覚えてる?」 女の方から質問してきてくれた。 「うん」 「どこまで?」 尋ねてきた声は穏やかだった。 「ここでこれを飲んで……いつの間にか玄関にいたことは覚えてる」 「以前より記憶はそれほど失ってないみたいね」 女は腕組みをして考え込む。 「これ飲まないと駄目なの?」 イオタは少し勇気を出して訊いてみる。