「ご、ごめん……なさい」 意識的に迷惑をかけたわけじゃないが、口は悪くとも心配してくれているのは間違いないようで、イオタは謝った。 「今度から部屋にカギでもかけておくしかないかしらね」 女は自ら捻り出した対策を独り言のようにこぼす。 「ぼくの名前はイオタなの?」 イオタは舞台でシータと話した世界が現実だったのか、確かめるために訊いた。 「どうして本当の名前を知ってるの?」 女はびっくりした表情でイオタを見詰める。