「良かったでござる。太一や薫の席の近くで。」

薫は雷青の後ろの席だった。太一に話している雷青の反対側から声がかかった。

「雷青ちゃん。」

雷青が振り向くと、其処には薫によく似た男子が居た。

「俺、宮字千賀也(きゅうじ ちがや)。此処に居る鬼本薫の従兄弟。太一の親友。宜しくな。」

どうやら千賀也は、雷青から見て太一の反対側の席らしい。

「雷青と呼んで下され。拙者も千賀也と呼ぶでござる。良いでござるか?」

「勿論!なぁ太一、お前こんな可愛い子ちゃんが従兄弟なのか?良いなぁ〜。」

「いや。…千賀也、誰にも言うなよ。雷青は俺の従兄弟じゃなくて、…先祖。」

ひそひそと太一が言って、鞄の中から[青影家の歴史]のノートを取り出して『江戸末期〜明治初期』と書かれた24ページを開く。

「お前…。またそれ持って来てたのかよ…。」

千賀也が呆れた声を出した。