「鈴木が謹慎って、なにそれどーゆーことよ?」

私は楽譜と何冊かの漫画しか入ってないようなバッグを机に置いた後、三好を軽く睨んだ。

「何も聞いてないんだ?」

「だって昨日のことでしょ?メールとかもしてないし」

嘘だ。

あの後、バンドの練習を終えて仲間とファミレスで夕飯をとると既に時計は10時を指していた。

鈴木は私が学校にいない時のことなんかをいつも報告するようにメールをくれる。

なのにその日に限って彼からのメールは入ってなかった。

その時は何も感じなかったが、今思えば彼なりに追い詰められた結果なのだろうか。

追い詰められたなんて言うと大袈裟か。

彼にとってはどうでもいいことでしかないのだろうから。

それでも彼がメールを送って来なかったのは確か。

いや、でもあれは義務でもなんでもないわけで。

………。

やめよう。

全てただの下らないどこにでもある気まぐれか何かだ。

そんなことで珍しく私からメールを送ったのだが、彼は謹慎のことなど言わなかった。

言うほどのことではなかったのだろうか。

それとも言いたくなかったのだろうか。

「ふぅん…あいつなら真っ先にお前に言うと思った」

どうして私は今、嘘を吐いた?

彼とメールをしなかったから私は事実を知らなかった。

そこには彼の気持ちも私の気持ちも関係なく、仕方ないことなのだ。

そういうことにしたかったのだろうか。

下らない。

でもそんな人間なのだ、私は。

ケイが笑う。

クスクス。

私は無視してまた三好に向き直った。

「まぁ、関係ないけどね、あんな奴」

クスクス、クスクス。

鬱陶しい。

私の嘘を笑うな。

精一杯の強がりを、笑うな。