「あたし、湊のこと好きだよ」
そう、愛華が顔を赤らめて言った。
正直、嬉しかった。
俺も、好きだ。
そう言えば良かったのに…。
俺は、ホントにバカだ。
素直になれない。
俺は…
本当に最悪なことを言った。
『冗談だろ?愛華、俺のことからかってんの?』
愛華の顔が、歪んだ。
『お前みたいなブスと誰が付き合うかよ』
…あれ?
俺、今なんて言った?
気付いた時には、遅かった。
愛華の頬に、涙が伝っていた。
そして、ポロポロと止まらず流れる涙。
途切れ途切れの、言葉。
「…ッ湊のバカッッ」
そう言った瞬間、愛華は走って教室を出た。
俺の足は、しばらく動かなかった。
『俺、なに言ってた?』
俺、すっげぇ最低じゃん…。
なぁ、愛華?
今なら…まだ間に合うか?
俺はかすかな望みを持ちながら、廊下を走った。
どこだ、愛華!
『ハァハァ…ッ!いた…』
いた、けど……
愛華は信じられないくらい、泣いていた。