「真の月の冠は誰の手に…。」





なんでもお見通しの彼女が来た。





「こんばんは。パープルムーン…。」






双子の執事を引き連れ現れた。クイーン候補。
紫月の冠を戴く彼女は目が見えない。





彼女は瞳を隠す。





たが他者は隠せない…。反射の力に加えて…。何故なら心が読めるから。




「また遊んでいたのね?」





「そう。」





「怖いこと考えてる?あの方に手を出すと後が大変でしょう?」






クスクス…。





クスクス…。





「そうね。」





「ブルームーンはまだいないの?」





「まだ見つかってませんわ。」





「レッドムーンも大変でしょう?」





「そうね。」





「そんなに警戒しないで…。私は…貴女の味方です。それにブルームーンには…。」






「借りがある…。」






「そうです。」






クイーン候補は踊る。





紫の瞳はマスクで見えない。




見えてなくても見えるように優雅にミステリアスに舞う。






双子の執事は前に来て差し出した。




息吹かしむ赤い月。
「これは?」






「直接貴女に触れないように。」





金銀の泡のたつ飲み物。




それをゆっくり飲み干した。
見えたのは異世界へ飛んでいくもの達…。





「動き出したのね…。あの子を利用するために。」





「それではご機嫌よう…。レッドムーン。」





両手を双子の執事に手を差し出し去っていく。





「月の冠は異世界にも影響が出る…。あの子を守らなければ彼奴が壊してしまう。」





ロベルト…。どうか守って。
無垢な青い月を。





でなければ黒い炎に食われてしまう。
それだけは避けなくてはいけない。