「ここは、大阪ですよね」

「大阪府だが」

「いいのです。大阪なら」

「君、大丈夫? 汗びっしょりじゃないか」

「見えてらっしゃらないのかと思いました」

「水でも被ったの?」

「大阪解体ですから」

「何かの暗号? 合言葉のような」

「いえ、貴方次第です」

「わからないな。君の言っていることが掴めない」

「そうですか……」

「大人をからかってる?」

「そのようなことはありません。ただ……」

「ただ?」

「貴方に許可をとっておきたいと思いまして」

「大阪解体の?」

「そうです」

「私の許可がいるの?」

「貴方の世界です」

「君の世界でもあるでしょう?」

「違います」

「君、この世界はみんなのものだよ。動物や植物を含めてね」

「はい」

「君だって立派なその一員だし、責任を背負ってる。一人ひとり、自覚しなくちゃいけないところなんだ」

「すみません」

「いや、わかって貰えたら、それでいいんだ」

「はい」