指輪と彼女と幸せの空



――声が、聞こえてくるようだった。


それは、そう


あの、低く響く優しい温もり。


「お兄ちゃん…?」


あぁ、こんなところにいた。


悲しくて、苦しくて、辛くて。


あの優しい温もりを、必死で探していた。


走り回って、手を伸ばして


あちこち捜し回った。


けれど、見つからなかった。


見つかるはずがなかった。


そんなところに、お兄ちゃんはいない。


お兄ちゃんは


「寂しいけれど、苦しくはないです。だって…」


私の大好きなお兄ちゃんは


「かーくんは、


ちゃんとここにいるから。」


こんな近くにいたんだ。