知識の試験を終え、すべての生徒の合否が出るまで待機と言われたサードの生徒たち。その中には、なんとか知識の試験の合格を勝ち取ったヴォルクスが、フェイトの傍らで突っ伏していた。


「………あああぁぁ、もう駄目だ……」


「…………ヴォル、そんなに疲れたのなら棄権しようか?」


 あからさまに燃え尽きたとしか言いようのないヴォルクスの姿に、フェイトは気遣うようにその言葉を投げ掛けた。こんな気のいい友人は、きっとなかなか見つからないだろうなと思いつつ、ヴォルクスはむくりと起き上がる。


「だい、じょぶ、だ。ただ、全力疾走はしんどかった。それだけ」


 もちろん、それだけでは決してない。しかし、それを口にしたくない。


 それを汲み取れなかったのか、フェイトは苦笑しながら言葉を零した。


「でも、今回は僕もびっくりしたよ。前回は魔法攻撃がどこからか飛んでくるだけだったのに、今回物理的なトラップまで仕掛けてあるんだから」


 フェイトの発言に、ヴォルクスは脳裏に浮かんだ恐怖に再び背筋から悪寒が駆け上るのを感じた。

 問題を間違えるたびに巨大岩に追いかけられて逃走劇を繰り広げることになるわ、落とし穴に落ちかけるわ、上から爬虫類が降ってくるわで、さすがに精神的にも堪えた。それらの罠をなんとか回避することができたのは、間違いなくパートナーのおかげで、ヴォルクスはフェイトが相棒じゃなかったら今頃落ちているなと思っている。


 ―――と、いうよりだ。なぜ面倒くさいトラップ増やしやがったあの糞教師共!!


 脳裏で罵倒の言葉が浮かんだが、何分疲れているので口に出来るほど余裕はない。