どんな対応をしていいのか分からず、私はママの方を向いた。
 ママは何かを察した様に、私に言う。
「じゃあ、挨拶も済んだ訳だし。ママは麗太君のパパと大事なお話があるから、優子は麗太君と部屋に行ってなさい。麗太君の部屋は、後で用意するから」
「ちょっと……えぇ!?」
 ママに押され、私は麗太君を二階の自室に招いてしまった。
 そういえば、部屋に男の子を上げるのは初めてだ。
 中央に置かれている小さなテーブルの周りに、クッションが三つ置いてある。
 私はいつも座っている、キティちゃんの可愛らしいプリントが成されたクッションに、逸早く座った。
 なんとなく、これだけは男子に譲れないのだ。
「どうぞ」
 そう言うと、彼は私の向かいのクッションに座る。
「えっと……麗太君。お母さんは、大丈夫だった? えっと……ほら! あの……この前、事故に遭っちゃったでしょ? それで……えぇっと……今日から私と住むっていうのは……」
 訊きたい事は多々あるのに、言葉が上手く出て来ない。
 ぶっきらぼうな私の言葉に、麗太君は俯いてしまった。
「あぁ、ごめんね。そんな事を聞かれても困るよね……」
 どうして、私がこんなに喋っているのに、麗太君は無口なんだろう。
 これでは、沈黙を作るまいと頑張って話をしている私が馬鹿みたいだ。