また、手に持った浴衣を見てみる。 青に近い紺の生地に、赤からピンク、オレンジっぽいグラデーションの牡丹。 真っ赤な帯。 …やっぱ、綺麗だ。 「兄ちゃん、それ買ってくか?」 「あ、えっと……」 金、持ってきてない。 じいちゃんちのリュックになら、あるけど。 「また今度、来ます。」 妃、着れねえかな。 …買うだけ、なら。 もし妃が着れなくても、妃に絶対似合う浴衣なら、持っていたい。