妃がボーっとしてんのは、珍しいと思う。 いつも凛としてて、静かに周りを見ているようなやつだ。 そんな妃が、一言も発さずにふらふらと店の中を見て回っている。 …いや、なにか、目的があるように見える。 ぴたりと、ひとつの場所で止まった。 「唯…ここ、空けてみてもらえますか?」 さすがに他の人がいる店内で物を動かすことは出来ないらしく、俺にそう頼んできた。 服を見るのと同じ要領で、一枚ずつ浴衣を出して妃に見せてやる。 すると、五枚ほど見せたところで「これ…」と小さく呟いた。