ある夏の、じいちゃんの家で過ごしたときの夢を見た。 ――――――――― 「唯は優しい男だな。」 なにかにつけて、じいちゃんは俺にそう言った。 ある時は捕まえたバッタを逃がしたときに。 ある時は腕にとまった蚊を叩けずにいる時に。 まあただ、怖かっただけなんだけど。 「叩けないのは唯が優しい男だからだ。」 と笑いながらかゆみ止めを塗ってくれた。