紙とペンを取ってきて、それに名前を書きました。 “妃”と。 「…………ひめ?」 そこで、ヒサヒトさんはそう間違えたんです。 “きさき”と読み仮名をふれば、「ふうん。」と曖昧な声を出しました。 そして私は、もう一言。 “眠ったほうが良い” と書いて、ヒサヒトさんが眠ったのを確認してから家を出て川の上流で朝を待ちました。 …家に、いられなかったんです。