「ありがとうございます
でも、私には守ってくれる人がいる
だから、大丈夫ですよ」
「でも、」
「守らなくていいから
自分を許してください」
意味が分からないといった様子で
彗太さんは目を開いた
「凛久もそう思ってると思う」
彗太さんは顔をゆがめて
「ありがとう」と言って
立ち上がった
「俺はこのノートを見て
あんたを信じてみようと思ったんだ
もう、俺はあんたを恨んでない
許せなかったのは前までで
今は感謝してるくらいだから
きっと結もいつかはあんたを許せる時が来る」
差し出されたのは
太い日記帳だった
「これ・・」
「凛久が書いてたものだ
凛久のお母さんが
あんたにって」
さっき結ちゃんが言ってた
日記だと思う
「じゃ、俺は帰るね」
玄関の方へ向かう
彗太さんを見て咄嗟に
「待って」と引き留めていた