「離れるね‥。」 吐く息が白くなる3月上旬、繋いだ手を強くして彼は言った。 「え?」 降り続ける雪に見とれていた私は、呑気な声で彼を見た。 「高校。もう卒業だよ。」 足を止めて目を合わせた。 「そうだね。」 私は、伊藤かすみ。 ¨彼¨は、私の彼氏の佐野竜一だ。 優しくて、少し鈍感な性格をしている。 あと十日でこの中学校生活も終わってしまう。卒業だ。