『若恋』玲央の初恋【完】


「来いよ」


彼女の口に詰め込まれたものを掻き出して、腕を引きホームへ降りた。



彼女は泣き出しそうな瞳で俺の顔を見上げる。



「あ、ありがとう」



「あんた、いつもこんな目に遇ってんの?」



尋ねると彼女の顔が朱に染まった。

どうやら図星らしい。



「俺に助けてほしいってこのこと?」

「………」

乱れた服のままスカートを震える指で握りしめる。



「レオ、待てって!」

「あの娘は無事か?」


玉木と鍵谷が俺のカバンを持ち後を追ってきた。



「ああ、大丈夫そうだぜ。じゃあな」


彼女を置いて歩き出す。


「おい、この娘を置いてくのか?」

「あ?」

「置いてくのかよ。このまんまならまた奴らの餌食になっちまうぜ」

「俺たちのとこへ連れてった方が安全だって」



「………」

「おいでよ」


玉木と鍵谷が俺らから離れて歩かないようにと手招きした。